今から157前、桜田門外にて、時の幕府大老井伊直弼が暗殺される事件が起こった。時、折しも朝から積雪して、寒い朝を迎えていた。桜が咲くようなこの時期に積雪とは、疑わしいと思っていたが、昨今の冬に逆戻りをしたような天候を考慮すると事件当日に積雪があったことは本当であったと思えてきた。ともかくよく冷え込みます。
さて、3月30日(木)第28回 お江戸散策を行った。テーマは「都内屈指の桜の名所めぐりと古刹・古社散策」とした。中央線三鷹駅に集合し、三鷹八幡大神宮そして森鴎外、太宰治の墓所があることで知られる禅林寺に向かう。この寺院はこの寺院は禅寺のなかでも和式化しない黄檗宗の寺で、堂宇も明朝時代の建築様式を取っており、特異な佇まいで印象深い。次に、この寺院で、毎年開かれている「桜桃忌」で知られる太宰治が心中自殺をした玉川上水の現場近くに向かった。現場と云われる場所の前には太宰の故郷から産出された玉鹿石が置かれ、太宰を偲び、訪れる人に呼びかけているようであった。そこから玉川上水に沿って100mほど行くと「路傍の石」の作者 山本有三の記念館がある。堅固の作られた洋館と広い洋式庭園には、一小説家の住居にしては立派過ぎると思ったが、有三の生い立ちから、実家が栃木市の富豪の長男であることを知り納得できた。作品の名になった路傍の石も館の前に置かれている。上水に沿ってさらに進むと満助橋にでる。玉川上水を渡るこの橋は土地の名主渡辺萬助が安政年間に架けたものと云う。もう少し上水に沿って行くと小高い丘に顕彰碑が建てられている。松本訓導受難の碑とある。1919年永田小学校の生徒一人が過って上水の中に落ち、それを松本訓導が助けたが、自らは流れに抗せず、溺死した事件である。これより井の頭弁財天に向かう。井の頭池の水は、江戸庶民の生活用水であったことから、この御水に対する恩恵の念が高かった。そこで井の頭弁財天に参詣する人は、庶民ばかりでなく、中村勘三郎をはじめ江戸歌舞伎の役者の信仰を集め、浮世絵師の歌川広重も描いたことから人気が高まり大いに賑わった。弁財天の隆盛から、その別当寺大盛寺は相当ご利益を得たと思われ、今日も大きな堂宇が建てられているので見学を申し入れたがわれわれが檀家ではないことから見学は断られた。本日の井の頭公園は、晴れで気温も上げってきたことから、大勢の花見客が訪れていた。しかし、肝心の桜の開花が遅れていて池の水面近くに枝を伸ばした絢爛な桜の光景は見られなかった。それでも桜の名所で見かける歌舞音曲を鳴らす者は見かけず、何となく品の良い、家族・友人と連れだった花見客が、敷きもののうえで、それぞれお弁当を楽しむ微笑ましい光景がそこにはあった。われわれも腹こしらえのために、予約していたレストランに向った。 
〔ランチタイム〕
 昼食後、吉祥寺駅前のハーモニカ横丁やサンロード商店街を見学。平日の昼間にも関わらず街路地に先が見えないほど人々がショッピングを楽しんでいる姿をみて、街の活気を感じた。毎年、都内の住みたい街の上位に挙げられる理由がわかった気がした。サンロードを北へ進むと商店街の左手に明時代風の三門を構える月窓寺がある。この一角には、他に蓮乗寺、光専寺、安養寺の四つの寺がくっつきあうように有る。総じて四軒寺と呼ばれているそうだ。つづいて古社武蔵野八幡宮に向う、当社は延暦8年に八幡宮の総社・宇佐八幡宮から分霊を勧請されたと云う。次に、10数分歩いて、全女性あこがれ大学・東京女子大学に着いた。同校卒業生の渡辺さんに予め、構内見学の許可を取っていただき、キャンパスに入ることができた。渡辺さんに、同大学の建学精神と目的やキャンパスの各施設を丁寧に説明していただき同大学の格式の高さを改めて認識した。同大学の脇道を北に向かって数分行くと善福寺池に出る。湖面脇に並ぶ開花している桜を期待したが、井の頭池より遅れているようで開花している桜は散発的であった。しかし、この公園は近郷の主婦、子どもたちの遊び場のようで、何かイベントでもあったのかと思われるほど人が集まっていた。湖畔で小休止をしてから、つぎの散策地・善福寺に向かった。池のゆかりになった寺かと思いきやゆかりになった寺は既に廃寺となり、他の名前であった小庵が改名して善福寺になったと云う。少し、ややこしい。つづいて、数分のところにある井草八幡宮に向う。鎌倉時代源頼朝が室町期には太田道灌がそして、江戸時代には3代将軍家光が庇護したと伝わり、楼門や社殿の造りの豪華さには驚かされた。流鏑馬の走馬場もしっかりできており、この辺り一帯の筆頭格式を持った古社であることが理解できた。このあと、最後の散策地・観泉寺を残すのみとなったが、時も15:30を過ぎ、歩数も21,000に至ったことで、散策終了として、荻窪駅へバスで向かった。駅に着いたが、まだ陽も高く、めったに来れない処なので、荻窪駅の南側数分のところにある明治天皇小休止所を見学して、本日の散策をお開きにした。 (石井義文)
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