2018年2月21日(水) 大田区の古社・古刹めぐりと題して、多摩川矢口の渡しから池上周辺を旅する第32回 お江戸散策を実施しました。東急多摩川線下丸子駅前の大田区市民プラザに愛好者8名が集合しました。危惧した天候も曇天ながら左程冷え込みもなく出発できました。最初の散策所は浄土宗大金山宝幢院光明寺という古刹。浄土宗の関東弘通(ぐづう)念仏道場の格式を持った寺院である。また死者の遺骸を弔う場所と霊を供養する場所を持つ古い埋葬慣習の両墓制を持つ都内唯一の寺院と云う。霊を供養する墓所には八角円形の倶会堂があり、堂内には高名仏師が刻んだ阿弥陀如来像が安置されていた。この光明寺には池を備えた庭園があると云う事であったが、立ち入り禁止とのことなのでここを後にして、一旦下丸子駅方面にもどり次の蓮光院に向かった。
 真言宗蓮光院は寺号を円満寺と称するようであるが、院号を公称にしているそうだ。寺域は大きくないが武家大名屋敷の御門を移築して山門にしていて落ち着いた寺の風格を備えている。山門はケヤキの美しい木目板を使用していて、壁は上部が漆喰壁、下部はなまこ壁で作られている。江戸時代の建築を目の当たりにでき、武家の屋敷内を見学している感じである。庭には大名から寄進を受けたという大きな燈籠が二基、参道の左右に置かれて、綺麗に剪定されている躑躅群とよい風情を醸し出している。いまは時期ではないが躑躅が咲くころには美しい風景が見られると思われる。つづいて、多摩堤通りを矢口の渡し方面に10分ほど歩いて十寄神社に着く。この神社は、南北朝時代、後醍醐天皇の南朝方武将として足利方と対決した新田義興の家臣10名が祀られている神社で、小さな祠であるが信仰の深さが感じられる。この神社は義興を祀る新田神社に行く前に参詣するのが、慣わしと云う。十寄神社から武蔵新田駅方面に4~5分商店街を行った左側に新田神社がある。江戸時代中期に諸学の天才と云われた平賀源内が浄瑠璃「神霊の渡し」を書いて、これが評判を呼び、歌舞伎、人形芝居で上演されようになった。新田神社は一躍江戸で有名な神社なって、参詣者が増えたという。歴史的にも無名に近い新田義興が人々に名が知られるようになったのは源内さんのおかげと云える。「神霊の渡し」には義興が、謀略で殺されたことが描かれているが、謀略を画策した足利方に味方して、多摩川を渡る舟の船頭・頓兵衛が、義興暗殺に加担したため、のちにその祟りに遭い、非業の死を遂げたことを村人が慰める思いで地蔵が建てられたと云う頓兵衛地蔵尊に向かう。頓兵衛地蔵尊は多摩川七福神の中の布袋尊も祀られて、今日でも参拝者は多いようだ。この地蔵尊を出る頃、昼時になったので千鳥町駅付近のそば処に入って昼食を取った。お味良よく、そこそこ満足でした。
【ランチタイム】
 昼食後は、池上村、徳持村一帯の鎮守徳持神社を参詣することにしました。当社の祭神は第15代応神天皇(男神)であることから、屋根の千木が外削ぎすなわち地面に対して垂直に立っている。豊かになった氏子たちによって社殿や鳥居も造り替えられ品の良い神社になっている。毎年7月には例大祭が盛大に行われる。
これより、池上本門寺の境内へ進む 
 御存じ日蓮宗大本山本門寺である。参道の霊山橋袂に大きな御題目宝塔が建っていて、池上家から寄進されたと云う、7万坪の寺域に入る。正面の総門を潜ると加藤清正が寄進したと云う段数96段の此経難持坂(しきょうなんじ)である。坂の左手には江戸末期に江戸町火消も組が寄進したという青銅の燈籠が建っている。坂を登りきると右に本門寺守護神長栄堂、正面に仁王門、その左(西側)に日朝堂鐘楼が並ぶ。つづく参道の正面には巨大な大堂があり、堂宇の天井には日本画家川端龍子の描いた龍神がいて、見上げる者に鋭い目つきで睨みつけてくる。大堂の西側には、天明年間に建立された経堂があり、長い年月を漂よわせてくれる。本堂裏手を直進すると、聖域の釈迦堂(大殿)がある。大殿のなかには、仁王門の仁王像を彫造した原田佳美作の阿形像と吽形像が、邪心あるものを入室させないような迫力で迫ってくる。大殿を出て、紅葉坂を下って、車道を横切って坂を登った所に墓地がある、力道山、元大映社長永田雅一、児玉誉士夫、大野伴睦、幸田露伴等、そうそうたる人物が眠っている。また、関東最古の五重塔や北村西望作の日蓮上人像など目を見張るものがある。また、大殿を右手(西側)に行くと大坊坂があり、日蓮上人を御荼毘にした場所に建立された多宝塔、その北側の高台には、初代紀州藩主の母や奥方らの大きな墓があり、見ものである。加えて、幕府御用絵師狩野派一族や中興の祖と云われた狩野探幽墓も注目である。坂の名にある大坊は日蓮上人が入滅した霊場に建立された大坊本行寺を指し、本門寺の末寺の中でも別格の寺になっていると云う。堂宇内には、上人が亡くなる前にもたれ掛ったとういう柱が現存し、拝観させてくれる。偉人の温もりを感じて畏れ多い気分になる。
これより池上梅園
  近年、大田区によって整備された池上梅園で咲き始めた梅花を観賞した。この地は、かって日本画家・伊東深水の自宅兼アトリエがあった所とのこと。大きな庭園ではないが、見晴らし台から眺める景観は、遠く武蔵小杉のビル群も望め、眼下を走る池上線や国道1号線がなければ、格好の舞台と思える。園内には、有名人が所有した茶室や和室を移築して配置され、梅花観賞に彩りを添えてくれている。陽の輝く日に訪れると満足感はもっと高まるのであるが、本日は生憎の曇天。されども、本日の散策を気分よくお開きにしてくれる所であった。 皆様おつかれさまでした! (石井義文)
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